一周忌 [法事]
龍光寺境内はいつも変わらず悠々としている。
少し早いエイコ一周忌ではあるが早くもあれ
から1年が過ぎたのだ。法要は11時から、喪主
を筆頭に11名が集まり焼香した。天気はいいが
時おり吹く風は冷たく足元の電気カーペットが
心地よい。住職も老いたのか 後任に木魚を
譲り2部の合掌となった。いつもより長いブツ
ブツとした念仏だが何故か心に響く。その後は
香邸にてお洒落な弁当にデザートを頂きおひ
らきとなった。
告別式 [法事]
喪主のご意向は質素な家族葬、
とは言うがあまりに立派な祭壇に
息をのむ。その中央の棺に納まる
故人はずっと昔から君臨する女帝
のようで、棺の中には貢物のように
餞別の品が贈られた。ある人はCD
をまたある人はドラ焼きを、絵を更に
その上からは棺の蓋も閉まらない
程の花々が被さった。そしてついに
故人の出棺は道中の無事を祈る周囲
の合掌に囲まれて霊柩車に納まった。
3回忌 [法事]
赤松の緑が常緑であるとはいえ部分部分は枯れて
抜け落ち新芽にとって変わっていく。この少しづ
つの変化がまるで大木の呼吸のようでもあり、そ
して70年、80年と長い将来にわたって存在し
根を張り幹を逞しくしていくのだろう。龍光寺本
堂に響くモクギョウはそんな時の流れを刻んでい
るようでもある。今日は八重子さんの3回忌。
1周忌 [法事]
龍光寺境内は義母がなくなった1年前と変わらず、厳か
な佇まいと周囲の大木も鬱蒼として、訪れる人の焦りや
苛立たしさを鎮めてくれるようだ。住職は紫の法衣で
本堂に現れモクギ゛ョウを叩く。そんな御姿を前に見て
お経に聴き入っていると身体の奥に付着した、ちり芥が
拭われていくようだ。微かに熊野神社の太鼓の音が聞こ
える。そういえばご臨終の際もお祭りで、お神輿の掛け
声の中だったことを思い出す。